JAZZの王様

下品の意味を知る

知らないところで

なんで飽きもせずにJAZZなんか聴いてんのかって考えたら、結局

おれらの知らないところでこんなにイイことしてやがる

っていう発見というか、潜入捜査がやめらんないからじゃないかと思いますね。特にソウルジャズの世界は。

私が偏愛するDon Wilkersonなんかは、"The Texas Twister" の "Jelly Roll" なんかを聴いていると、Jelly Rollっていうからにはジェリー・ロール・モートンがテーマなんだろうけど、どうせそんなのテキトーだよなって思ってると、とぼけたテーマが終わったとたんに、中身がスッポ抜けたマカロニみたいな頼りない音で吹きまくるわけですよ。煮え切らないけどなんかキモチいいよなって思いながら、でもなんでジェリー・ロール・モートンなんだろうって考えてると、でもこれってたしかに、フレディ・ケッパードとかヘンリー・アレンとかジョニー・ドッズ、そしてもちろんモートンなんかのレコードで聴いた、1920年代のバンドサウンドに似てるし、レスター・ヤングコールマン・ホーキンスよりももっと昔のサックスの音みたいだって気づく。

そうすると猛烈に嫉妬心がこみ上げてきます。こいつはただ直線的なアドリブラインを吹いてるんじゃなくて、一つの全体的なサウンド、それも何十年にもわたるレースミュージックのイメージを描きながら吹いてるんじゃないかと疑い出す。うわー、Don Wilkersonってバカじゃないんだ、こいつらはおれら日本人なんかには絶対にわかんない隠語を使って、遠い過去とも自由に交信しながらアドリブを吹き散らかして、一見誰にでも門戸を開いたフリをして、ニコニコしながら、自分らブラックミュージックの世界を頑なに守ってるんじゃないかっていう猜疑が止まらない。なにかと手を差し伸べてくる白人刑事に決して心を開かなかった「黒いジャガー」のシャフト、リチャード・ラウンドツリーみたいな生き方なんじゃないかと。

そういう、手を伸ばしても絶対に入り込めない世界が厳然とあるのを知って、打ちのめされるのがたまんないわけです。

 

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Don Wilkerson - Tenor saxophone
Nat Adderley - Cornet
Barry Harris - Piano
Sam Jones - Bass
Leroy Vinnegar - Bass
Billy Higgins - Drums
(May 19 & 20, 1960)